第五章:剣舞

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すると、停車した一般車のドライバー席側についている窓が開き中から余裕が無さそうな、男性が顔を出した。 「き、君達は?」 「白亜の盾です。」 晃は被っていたヘルメットを取って顔を晒して耳に装着している端末から白亜の盾である証明であるエンブレムを投射した。 「き、君達のような若い子達が白亜の盾なのか?」 「そうです。」 男の問いに答えながら車の状態を確認する。ボディに傷が付いてはいるが燃料等が漏れている様子は無く中に居る人達も無事のようだ。 しかし、まだ終わっていない。晃とミリアムはバイクから降りて周囲を見渡しながら意識を集中する。 「どうやら増援のようです。」 「そのようだ。」 二人がそう言った瞬間、転移魔法の気配と共に大量のマキナが晃達の周りに姿を現したのだ。 「か、囲まれた!!」 「落ち着いてください、貴方達には指一本触れさせませんから。」 車の中にはドライバーである男性と後部座席に女性が一人乗っているのを気配で察知していた。 晃は術符を作り出して車の周りに結界を張るともう一枚術符を取り出し、自分達を中心に魔素を濃くする術式を発動させた。 「ミリアム、準備は良いな」 「えぇ、いつでも行けます。」 晃は煌華と月輪神夜を呼び出して腰に挿すと煌華を抜刀して構えを取り、ミリアムも晃と背中合わせになりながら鍵型の魔武器であるエンブレスソウルを呼び出し構えを取った。 「よし、行くぞミリアム、いつも通りだ!!」 「はい!!」 晃とミリアムの掛け合いと共に二人の姿はその場から消え一瞬で数体のマキナが切り裂かれた。常人には晃とミリアムの動き等見える訳は無く、二人の姿が消えたと同時にマキナが次々とバラバラに解体されているようにしか見えなかった。 「どうだ?エンブレスソウルの使い心地は?」 「はい、問題ありません。これならいつも通りに戦えます。」 「なら、あれやるぞ?」 「はい、いつでも!!」 その瞬間、晃とミリアムの纏う雰囲気が変わり二人の中で互いに意識が深く結びつくのを感じた。シンクロ、リスティア界で最強のコンビネーション力を発揮する晃とミリアムが至った境地である。
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