第五章:剣舞

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護衛の話について誰が適任かを考えていると車にミリアムが乗ってきた。 「晃、どんな話になっているのですか?」 「あぁ、彼女を守る件については向こうも合意してくれていて詳しい方針についても話し合いたいとの事だ。けれど話し合いまでの間も彼女を警護出来る人間を一人出せというのが向こうの願いだ。」 白亜の盾に入っていないミリアムは小型端末を持っていない為、どういう話になっているかを把握出来ない状態なので、晃が代わりに説明をする。 「晃、彼女は学生ですか?」 「さ、さぁ、俺はこの手の話は疎いからわからないな」 そう返すとミリアムは振り返り香凛の方へ歩み寄った。 「すみません、私はミリアム・プランジュと言います。えっと早坂香凛さん、香凛さんとお呼びしてもよろしいですか?」 「は、はい、なんでしょうか?」 ミリアムの髪や瞳が珍しいのだろうミリアムの事を見ながら問いかけに答えた。 「失礼ですが、香凛さんの年齢は?」 「16歳です。」 「じゃあ、アイドル活動されていると思いますが学校等には通っていますか?」 「は、はい、あまり登校は出来ていませんが白凛高校に籍を置いています。」 白凛高校は晃も通っている学校だ。ミリアムも香凛の話を聞いて晃の方に視線を向けた。ミリアムとのアイコンタクトで互いに同じ事を考えているのが分かった。 「はい、はい、わかりました。では」 すると、マネージャーの方も話が済んだようで内ポケットにスマホを入れてこちらに戻ってきた。 「香凛、明日の仕事だけど全部キャンセルする事になったよ。社長もこうなってしまった以上、香凛の安全を大事にしたいって言っていたよ。」 「はい」 「それで、社長からお願いがありまして」 「こっちも今、話が来ました。話し合いまで彼女を警護出来る人間を出してくれって件ですよね?」 「はい、これは我儘と取って頂いても構わないのですが、香凛は学校に籍を置いています。それで明日は学校に行かせてあげたいのです。」 「白凛高校ですよね?」 「ど、どうして!?」 「今、ミリアムが聞いてくれましたので」 驚いて晃を見て来たマネージャーに晃が香凛と話をしているミリアムの方を見てそう言うとマネージャーも二人の様子を見て納得したような表情を浮かべた。
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