第五章:剣舞

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晃も自席に座って出動の報告書をPCで書き始める。そんな中、守って欲しいと言われた早坂香凛の事について晃は難しい表情を浮かべていた。 「晃、どしたの?」 「どうにも腑に落ちない事があってな」 晃の傍らには小型の盗聴器が置いてあり、晃はそれに視線を向けていた。 「これ、盗聴器?」 「あぁ、機能はもう潰してあるから相手には何も聞こえないよ。」 「何処にあったの?」 晃は無言で隣の部屋に視線を向けた。それだけで玲には十分通じた。 「襟の裏に着けられていた」 この盗聴器は彼女と話をした時に彼女の襟が僅かに膨らんでいるのを見つけたのだ。不信に思った晃が彼女に悟られないように素早く取り除いた結果、それが盗聴器だったのだ。 「・・・でもベリューアにしては、ショボい盗聴器」 「あぁ、俺もそう思う」 玲の言う通り、この盗聴器は手に入れようと思えば何処でも手に入れる事の出来るありふれた物だったのだ。 ベリューア程の技術力があるならば、こんな盗聴器を使うのは考えにくい。況してや晃達、白亜の盾の情報を入手したいのならば、もっと小型で高性能な盗聴器を仕掛けなければ、この場所に入る際に受ける身体検査で発見出来るからだ。 こういう組織だ。情報漏洩には最も気を使っているのはベリューアでも分かっているだろう。つまり、これを仕掛けた者はその事を知らない別の誰かと言う事になる。 「じゃあ、あの人は」 「うん、俺達は面倒な事を引き受けてしまったかもしれないな」 隣に居るであろう彼女に聞こえない声で会話をしていると部屋の扉が開いた為、二人は扉の方へ視線を向けた。 「晃様、遅くなりました。」 「ついでに買い物もして来た。」 「あぁ、二人共ありがとう。」 入ってきたのは夜華とシンで二人の両手には買い物袋があり中にはお菓子に飲み物と食材が入っていた。 二人はそれを冷蔵庫等に仕舞うと晃の傍まで来て盗聴器が置かれている事に気が付いて表情を引き締めた。その後、隣に居る彼女に聞こえない声で玲と話していた事を二人にも話した。
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