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YM-040R型の構造について一通り話すと玲は自席に戻って聞いた内容を元に分析に入ったようだ。
「さて、俺も」
そう言って晃も二枚の紙に筆とインクを取り出すと紙に何かを書き込んでいく。
「マスター様、それは避雷針の術式ですか?」
「あぁ、香凛さん用にな、苦無を持たせる訳にもいかないからな。」
そう言って晃は避雷針の術式を書き込んだ紙を折り畳んで小さな袋の中に入れ、口をしっかりと紐で締めた。
「これで良しと、さて次は」
そう言って晃はもう一枚の紙に術式を書き込んでいく、それは避雷針の術式と同じでスパニエ文字では無くリスティアにある東の国で使われているジパング文字だった。
術式でスパニエ文字とジパング文字で使い分けるのには勿論、理由がある。スパニエ文字は魔法名が存在する詠唱魔法を使う時、魔方陣に使用したい魔法のプロセスを表現する必要がある。その時、複数の意味を持つスパニエ文字を用いる事で魔法のプロセスを事細かに書く事が出来るのだ。そうする事によって魔法の威力その物を底上げや影響範囲等も指定出来る。
対してジパング文字は文字だけで属性を指定して、後は自然の力を利用して自分の意思で事象を操る魔法である為、細かい魔法の指定をする必要が無いのだ。その為、術式が単純であり意味も一つしか無い為、どのような術式なのかも直ぐに分かるようになっている。
更に言えば、プロセスを事細かに設定しなければいけない詠唱魔法をジパング語で表現した場合、膨大な文字を書き込まなければいけなくなり、先ず確実にその魔法は発動しない。
それはスパニエ文字で事象魔法を扱おうとした場合も然りだ。複数の意味を持つスパニエ文字が意識で操る事象魔法を使うと予想外に反する魔法が発動してしまい。最悪暴走させてしまうのだ。
そして、晃の扱っている避雷針は術式がある場所への瞬間移動を行うだけである為、事細かな詳細は不要である。その為、事象魔法に該当し単純な術式で問題ないのでジパング文字で記載されている。
ちなみに事象魔法でも名前がある魔法が存在しており、この魔法を開発した雷帝が自身の扱う雷属性の魔法を訓練している時に周りに危険を及ば差ないように置いていた避雷針に自分の魔法が落ちるのを見て自分を高速で指定する場所に移動できないかと考えて作り出したのだ。
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