第五章:剣舞

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その避雷針の術式が完成した時に魔法の訓練で使っていた避雷針がこの術式を作成するヒントに繋がったので、避雷針と名付けたのだ。 晃は雷帝からこの術式を教わって以来、自分で改良を重ねて今のように扱えるようになったのだ。 そして、もう一つ晃が書いている術式もジパング文字である。 「これは式神ですか?」 「そうだよ。避雷針だけだと直ぐに飛べるってだけで助ける必要がある時に俺が気付け無いからな、念の為、式神を作っておいた方が良いかなって思ってな。」 そう言って、式神を生み出す為にジパング文字で術式を記載して紙に魔力を込める。すると紙が光を放ち凍り始めると青い蝶が姿を現した。 「薄氷蝶、イメージ通りに出来たな」 指に薄氷蝶を乗せると晃は満足したように笑みを浮かべると薄氷蝶の姿が薄くなり視認できなくなった。 しかし、視認出来ないだけで魔力を感知出来る者には薄氷蝶が居る事が分かる。だが、晃が作ったこの式神は晃並みの魔力感知能力を持っていても僅かに感じる事が出来る程度で、並みの人間ならば気が付く事すら困難なレベルだ。 こういう事が出来てしまう晃のセンスは本当に測り知れない。 「うーん・・・やっぱり、精密な魔力コントロールは苦手だな・・・ムラがある。」 「それだけ出来れば十分かと思いますが・・・」 隣で見ていたフリーシアが呆れたように苦笑いを浮かべていた。 「前に見せてもらったアキハさんの式神はムラ一つ無かったからな」 晃の周りに居る人間は皆、魔力コントロールが得意な者が多かった為、それを基準とするならば晃はまだまだと言われてしまうかもしれない。しかし、常人から見れば一部の者しか辿り着く事が出来ない領域だ。 それを難なくやってしまう晃は天才と言ってもいいだろう。 「これでよし」 晃は先程、避雷針の術符を入れた袋に薄氷蝶を憑けて香凛に渡す為の物が出来ると窓の外から日の光が入ってきた。 「朝か・・・」 朝日に目を細めながら、朝の献立を考える為に立ち上がり冷蔵庫を開けて中を確認した。
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