第五章:剣舞

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そう考えた晃は彼女に協力する為に、このペンダントを作った。もし、そのストーカーが考えている通りであるならば、香凛だけではなく周りに居る者に危害が及ぶ可能性すらあるからだ。 「俺達は警察でも弁護士でもありません。ですが、もしかしたら力になれるかもしれません。その為に貴女にも協力して欲しいのです。」 「きょ、協力ですか?」 「はい、貴女に危険が及んでも必ず助けます。昨晩、俺達の戦いを見た貴女なら俺達が簡単にやられない事は分かる筈だ。」 「ですが・・・」 「申し訳ないですけど、俺の推測が正しければ警察や弁護士が対処出来る次元では無い可能性があります。そして、この一件は俺達の領分だ。あくまでも推測のレベルでしかありませんが。」 香凛は晃の言葉を聞いて迷いが生まれているがもう一押し必要な感じだ。だが、ここで晃が何かを言っても信じてもらえる可能性は低い。 「香凛さん、晃さんが推測で言った事は大抵外れません。寧ろ、晃さんが言った事は外れてくれた方が良いレベルです。」 「そうですね。私も晃様とは二ヶ月ぐらいしか一緒に居りませんが、晃様が考えて打つ手は常に私達を助けてくれています。」 「あぁ、晃が居なければ俺達も危険な目に合っていた時もあったな。」 「でも、その推測が常に当たるって事はとんでも無く危険な時もあるから、巻き込まれる私達も大変なんだけど・・・」 フリーシア、夜華、シン、玲の順番で言ってくれたのだが、褒めているのか呆れているのか分からないような感じで言われてしまい。晃は乾いた笑いが零れた。 「でも、これだけはハッキリ言わせてもらいます。晃さんがこうして申し出たのはその必要があるからです。もし、香凛さんの置かれている状況が警察や弁護士で対処できるレベルだと判断していたのならば、晃さんは申し出ないでしょう。」 フリーシアの言う通りである。出来ればそうあっては欲しくないのだが、マキナが香凛を襲った件と盗聴器の件は直接的な繋がりは無いにしろ何処かで繋がっているように思えたのだ。 ならば、マキナが香凛を襲った理由を考えるよりも彼女に迫ろうとしている輩を捕まえた方が警護の件も含めて色々と手っ取り早く解決もしくは収束に向かうのではないかと考えているのだ。
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