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だが、フリーシアの発言が決め手となったのか、香凛が事情を説明し始めた。念のため夜華に巫女の瞳を使ってもらい嘘か本当かを見て貰っていたが、真実のようだった。
ストーカー行為が始まったのは一ヶ月前からで、事務所に送られてくるファンレターの中に落書きがされた香凛の写真や手紙が送られてき始めたようだ。最初はそれだけだったのだが、どんどんエスカレートして写真を加工した物や体毛らしき物等が送られてきたようだ。
「そうか・・・体毛とかは取っておいてあるんですよね?」
「は、はい・・・弁護士さんからDNA鑑定で特定出来るからと預かってもらっています。」
「なら、これも役立ちそうだな。盗聴器に付着してた指紋だからね。」
晃が懐から出したのは指紋が鮮明に浮かび上がっている小さな黒いカードだった。
「これも証拠品として使えるから、弁護士に渡しておくと良いでしょう。」
晃は小さな透明の袋に入れて香凛に手渡した。
「そして、事情も聞いた上で作戦を説明させてもらう。」
晃は、香凛に作戦を伝える。その大胆な作戦に香凛は驚いていたが、作戦のデメリットも勿論ある。
「この作戦のデメリットは早坂香凛というアイドルに対する熱愛報道に繋がる点だ。」
「はい、そうですね。マネージャーにも作戦については確認します。」
「じゃあ、やるんだな?」
「・・・正直、怖いですけど、何より天道さんや皆さんが協力してくれますので」
そう言って、香凛は携帯を片手に隣の部屋に入っていった。どうやらマネージャーに連絡しているようだ。
「晃様、この作戦で相手は動くでしょうか?」
「あぁ、動くように仕向けるんだよ。なっ、玲」
「うん、任せて」
そう言って玲は手を鳴らしながら自分のパソコンを開いてカタカタと何かを打ち込み始めた。
「晃が寝ている時に香凛さんが使っているSNSで学校に登校するこ事を書いてもらった。京伽にも話は通してるよ。」
「それで、それに対する反応で気になるものは?」
「うん、焼けに食いつきが良いと言うか過剰反応している人が数人見つかったよ。」
玲のPCを覗き込みSNSの書き込みを確認する。書き込みの文面と香凛が話していた手紙の文面を照らし合わせると該当する書き込みをしているアカウントを見つけた。
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