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体が重い。
〔・・ター様!!〕
声が聞こえる。
〔・・・せい!!マスター!!〕
〔・・ター〕
無数の傷を負っている為か全身が痛む。
「・・・・」
頭に響く声に促され薄っすらと重い瞼を開くと視界がボヤけ、上手く視認が出来なかったが、徐々に視界が鮮明になっていく。
〔マスター様!!〕
「あぁ、聞こえている・・・」
頭に響く声に短く答えると、重い体を起こす。
すると、ドサリと鈍い音が聞こえ、音の方に目を向けると大量の雪が背中に乗っていたようで小さな山を作っていた。
全身に鋭い痛みが走るのを堪えながらなんとか立ち上がり辺りを見渡す。
辺りは雪が積もって真っ白となっているいるものの街灯がある為、明るいところもあり、遠くを見ると背の高い明かりのついた建物が視認できる。
自身の周りは開けており一面、平地のようだ。
しかし、少し離れた所に整備された道と木が植えられており、更に奥には、子供用の遊具が置かれていた。
〔マスター様、ここは一体何処なのでしょうか?〕
「どうやら、ここは公園のようだ」
〔公園じゃと?〕
問いかけてきた声とは別の声が、問いかける。
「あぁ、小さな子供とかが遊ぶ場所と言うべきかな、俺も小さい時に良く遊んでいた公園だ」
〔では、ここはマスターの?〕
「あぁ、どうやら戻ってきたようだ」
また、別の声に彼はコクリと頷いて答える。
〔では、マスター様〕
「あぁ、ユウ・ミナカから天道晃に戻る時が来たようだ」
氷と雪を連想させる模様が描かれた蒼いローブについているフードを深く被りながら晃は笑みを浮かべたが、直ぐに険しい顔に戻る。
「結局、別れを告げることは出来なかったな。でも、お前達が一緒に来るとはね。フリーシア、水月綺、陽華」
袖を捲ると手首に付いているブレスレットが輝いていた。
〔それは、そうですよ〕
〔儂等は、マスターの使い魔じゃ〕
〔最後までマスターと共にいるのが使命でございます〕
「全く、物好きな奴等だよ」
晃は苦笑いを浮かべながらも満更でも無い表情をしていた。
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