第一章:帰還

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その感触を覚えた晃は瞬時に移動してマキナの群れに入り込み縦横無尽に駆け次々とマキナを破壊していく。 〔マスター様、怪我をしているのにこれ以上は〕 〔止まれば此方がやられる、今は痛みは邪魔だ!!〕 〔痛覚をシャットアウトしているのですか!?〕 極限の集中状態となる真鏡は人間の味覚、痛覚と言った感覚を無くす事で更に深い集中状態に入る事が出来るのだ。 晃は痛覚を無くす事で今のスピードで走りながらマキナと戦っているのだ。 「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 白夜真抜流 一刀抜刀式 捌ノ型 飛燕月下 鞘に刀を納めて立ち止まり、刀を抜き放った瞬間、三日月状の斬撃が舞い、全てのマキナを切り刻んだ。 「あっ、はぁ・・・はぁはぁ・・・」 刀を鞘に納めると咄嗟に身体に力が抜けそうになった為、凍華を杖代わりにして何とか踏み留まりながら荒れた呼吸を整える。 〔あれだけの戦いをした後じゃ、これ以上、マスターは戦えんぞ〕 〔早く、安全な所に〕 〔待ってください、気配が二つ此方に近づいて来ます〕 使い魔達の念話を聞きながら晃は体勢を整えて、凍華を腰のホルダーに挿し手を掛け、ながら多大な疲労によって荒れる呼吸を整え、失いそうになる意識を必死に留める。 もう、声を出す力も残っていない。 すると晃は二つの気配が前から走ってくる気配を感じた。 「この場所にマキナが出たって言ってたけれど何処にも居ないじゃない」 「待ってお姉ちゃん、あそこに誰か居る。」 二人の声から二人共女性である事が窺えた。 そして、晃の姿を見て怪訝そうな表情で此方に駆け寄ってくる。 「これは、まさか、マキナの残骸」 「これだけの数を一人で・・・」 口振りからマキナと戦っているようだ。しかし、二人は晃の事を警戒している様子でそれぞれ持っている刀と薙刀を構えてきた。 「アンタ、何者?」 「・・・・」 晃は重たい首をゆっくりと上げて二人を見て僅かに目を見開いた。 (姉さん、璃菜・・・) 目の前に居る二人は晃の姉と妹だった。 とは言え、声を出す事も儘ならない状態な上、リスティア界で就いていた水帝のローブに付いているフードと仮面で顔を隠している為、二人からは素顔が見えないのだ。
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