第十六章:巫女族

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璃菜と沙夜の巫女姉妹契約は滞りなく終わりを迎え、二人は巫女姉妹となった。真っ白だった舞扇子には夜空に星と三日月が描かれていた。二人共名前に夜の意味を持っている為だろう。 「これからよろしくね。沙夜!!」 「うむ、璃菜」 これで巫女族の力を持つ璃菜について、一安心といった所だろう。沙夜と話す璃菜の様子を見て晃はホッと息を吐いて建物を出た。 「これで巫女としての力も安定するでしょうね。」 「あぁ、俺達も出来る事はしてあげるつもりだが、基本的にあの二人がどうしていくかだからな。」 外の壁に背を預けてミリアムと話していると物珍しい人を見ているかのように晃を見つめる巫女族の女性達をチラリと視線を向けてからミリアムの方に視線を向け直す。 「ふふふ、やはりこういう場所ですと晃は目立ちますね。」 「そうだな、男一人だからな。」 「いっその事,女装したらどうですか?」 「それをして悶絶したのは誰だ?」 ミリアムの提案に晃が眉を潜めて返すとミリアムは視線を逸らした。晃が誰の事を言っているのかだが、他の誰でもないミリアムである。リスティアの神和院で修行していた時に巫女族の服を着せられた事があり、その時に晃が本気で女性らしく振舞った結果、その場にいた者達が悶絶し危険と判断されたのだ。 「あ、あれはあれで素敵でしたけれどね。」 「勘弁してくれ。俺は男だ。」 ミリアムと会話をしていると優姫と璃菜が建物から出て来た。 「さぁ、戻りましょうか。」 「あぁ、了解」 「はい」 「じゃあ、夜華、沙夜、次は向こうでな。」 「うむ」 「はい、晃様」 夜華と沙夜に挨拶していると神流が此方に歩み寄ってきた。 「晃、ミリアム、二人の数珠を此方に」 晃とミリアムは神流の言われるままにリスティアの神和院から送られて来た数珠を神流に見せると何かを呟き二人の数珠に触れた。 すると、数珠が淡い光に包まれ、僅かな力を宿した。 「私から二人に僅かですが術を掛けました。きっと二人を守ってくれる事でしょう。」 「「ありがとうございます。」」 二人は礼を言ってから車に乗り込み月華院を後にした。
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