幕間:零氷と九尾の妖狐

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広がる空間は無数の鳥居に大きな満月、広がる湖、そして、湖の真ん中に美しい社があり、そこに九本の尾を持つ女性が座っていた。 「九本の尾・・・九尾のよう、いや九尾の仙狐か」 「ほう、我の事を仙狐と呼ぶか。それなりの礼儀は持っているようだな」 そう言って、九尾は社の階段を下り湖の降り立った時、目の前に立つ少年に殺気を放った。 「っ!!」 その殺気を受けた少年は瞬時に距離を取り青い蒼い刀と腕に翡翠色と桜色の宝石がついた腕輪を装備していた。 「良い反応じゃの、ならば分かるだろう?お前と我では力の差が掛け離れておる。その程度で我を従えるなど千年早いわ!!」 その瞬間、九尾の全身から魔力が迸ると無数の術符を取り出し、投げて来た。術符は一気に魔法が発動し、炎、水、風、雷、地属性が一斉に襲い掛かってきた。 「白夜真抜流・・・」 白夜真抜流 一刀抜刀式 壱ノ型 刹波 晃が放った斬撃は九尾の放った魔法を切り払い、切り払っても残る魔法の中を駆け抜けて一気に距離を詰めて真横から相手を切り裂く斬撃を放つ。 白夜真抜流 一刀抜刀式 参ノ型 疾薙 晃の斬撃が水月綺に入る瞬間だった金属の甲高い音が鳴り響き晃の斬撃が何かに阻まれた。 「中々に早い動きをする。だが、我には届かん。」 「鏡!?」 晃の斬撃は美しい装飾が施された鏡に阻まれていたのだ。そして、その鏡が高速で回転し始めると晃の刀を滑るように動いて晃の刀を弾き、晃に襲い掛かった。 「っ!!」 咄嗟に身体を逸らして躱し距離を取った晃だったが頬から赤い液体が流れ落ちた。 「今のを躱すか・・・」 「切れる鏡か・・・しかも、唯の鏡じゃない術具だな。」 当時の晃でも相手を観察する能力は優秀だった。少し戦えば相手の特徴を捉え次の戦術を考えて動く、技の切れ打ち方も変えると共に持前のスピードで相手を翻弄する。長く戦えば戦う程、晃は強くなっていくのだ。
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