幕間:零氷と九尾の妖狐

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そして、龍の中に晃の気配を感じた事でこの魔法がどういう魔法なのか検討が付いた。 「まさか、『纏』を出来るとはな」 纏とは事象魔法をその身に纏って戦う手段である。しかし、少しでもコントロールを乱せば自分にもダメージが襲ってくる難しい魔法でもある。しかし、魔力コントロールが苦手な筈の晃はその纏を使いこなしているではないか。 「『纏』と言うのか、これは」 「何故だ。お前の技量では扱うのが難しい筈だ。」 「魔法のコントロールに集中力を振って俺が出来るギリギリまで乱れを無くしているのさ」 そう言って、晃が纏っている龍が水月綺に襲い掛かる。水月綺は飛び上がり鏡を足場にして更に後ろへと飛び炎属性の術符を放ち氷を溶かそうと試みるが届く前に炎が鎮火してしまい、晃の放つ魔法の威力を下げる事が出来ない。 「ならば、これでどうだ!!」 水月綺は水、風、土の属性を使い湖に手を付けると氷を突き破り無数の木が龍を纏う晃の周りに生え始め、晃の龍に巻き付き始めた。 「この魔法は植物属性!!」 「そうじゃ、我は属性を組み合わせる事で複数の属性を扱う事に長けておる。更に今度の炎はただの炎ではないぞ!!」 そう言って九本の尾を広げると尾の先から濃密な魔力を持った炎の玉が形成されて連続で身動きが取れない晃へと飛来し爆発を引き起こした。 「ぐぅぅぅぅぅ!!」 咄嗟に防御魔法を展開しながら龍から脱出したまでは良かったが、蛟が受けたダメージが晃の身体にも襲い掛かり腕に火傷を負ってしまった。 「さっきの炎、ただの炎じゃない。なんだ。」 そんな事を考えている内に水月綺の方から再び炎の弾丸が無数に飛来する為、刀で切り払いつつその場から移動する。しかし、襲い来る炎の威力が高く晃の身体を徐々に傷つける。 しかし、真鏡に入っている晃は直ぐに冷静さを取り戻し分析を始める。そして、水月綺の特徴から直ぐにその答えは導き出された。 「この炎、狐火か」 狐の放つ炎は鎮火する事が出来ず。しかも、炎属性に位置付けられていながら魔力の質が低ければどんな魔法でも燃やす事が出来る特性がある。そして、水月綺の放つ狐火は晃の魔力よりも質が高く、晃が放つ魔法の尽くを燃やす事が出来る。
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