幕間:零氷と九尾の妖狐

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しかも、狐火は一発一発の火力が高い為、大技で打つより小技による連射の方が脅威である。何故なら、今の晃には水月綺の狐火を止める術が無いからだ。 「ぐぁ!!」 防御魔法で防いでも魔力の質で上回られている状態である為、晃の防御魔法を焼き尽くし晃の身を焼いてくる。 「無駄だ。お前には我の魔法を防ぐ力はない。」 「そう・・・だな・・・確かに魔力の質で負けている以上、俺にはこの狐火を防ぐ術はない。ならば、当たらなければ良い。」 そう言った瞬間、晃から溢れていた魔力が一気に刀へと凝縮されていく、膨大な魔力を込めても全く壊れる様子のないあの刀は最高純度を持った魔石から作られている事のだろうと水月綺は見つめながらも狐火を放つのを止める事はしない。 襲い来る狐火を晃は真っ直ぐ見つめながら一気に最高速まで加速して突っ込んだ。 「血迷ったか!!」 「いや!!」 晃は水月綺の放つ狐火を左右に動いて躱し弾幕の中、速度を落とす事無く距離を詰めて来たのだ。 「なに!?」 更に躱し切れない炎は魔力を凝縮した刀で切り払っており、狐火は晃の刀によって消し飛ばされていた。 「なるほどな、お前が魔力を凝縮した事によって我の質を超えたのか、防御を捨てて攻めてくるとはな。だが我もただではやられん!!」 その瞬間、水月綺の全身から怪しく青白光る炎をその身から放出すると青白い炎の衣を身に纏った水月綺の姿が在った。 「蒼炎闘衣、我が魔力で編んだ衣だ。並みの人間ならばこの衣に近づいただけで燃え尽きるだろう。お前は何処まで耐えられる?」 放たれる熱気に晃は思わず腕で顔を覆いながら構えを取る。目の前に立つのは900年以上生きる仙狐、それなりの力を秘めている事も分かっていた。今更、彼女の変化に驚く事ではない。そう判断した晃は刀を正眼に構えて水月綺を見る。 「我のこの姿を見ても、意志は変わらぬか。ならば来い。お前の全力を見せてみよ!!」 そう言った瞬間だった。晃は眼をカッと見開き全身から膨大な魔力を噴き出した。
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