【インタビュー・ウィズ・サンタ】

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その男は… ある老人に対して、 『突撃インタビュー』を試みていた。 今、男の目の前で椅子に座っているその老人は、 どことなく『でれーん』とした印象の赤ら顔で、なかなかの肥満体形。 終始、ニコニコと笑う老人の顔には、カナリ立派な『白ヒゲ』が、たくわえられていた。 「それでは… まずは、アナタのお名前を教えて下さい」 男は、メモ帳片手に白ヒゲの老人に問いかけてみる。 と… 老人は『トローン』とした目で、手で白ヒゲを『しごき』ながらそれに答えた。 「うむ。ワシの名前は… 三田三太郎(サンタサンタロウ)じゃ。 苗字を漢字で書くと、数字の『三』に『田んぼ』なんで、よく『ミタ』と読み違えられるが、『サンタ』と読むのが正解じゃ。 それで、『株式会社・三田食品(サンタショクヒン)』という会社の社長をやっておる」 「そうですか…。分かりました…」 男はうなずくと、 「それで…」 と… いよいよ、今回の『話の本題』に入った。 「アナタは… 自分こそが、正真正銘『本物のサンタクロース』だと主張なさるのですね?」 男の問いかけに、老人はニコニコしながら力強くうなずいた。 「うむ。その通りじゃ。 正確には『サンタクロー「ズ」』と、最後『ニゴる』のが正式な発音じゃがな」 「…でも… アナタは、見るからに東洋人じゃないですか…。 確か、サンタは西洋人だったと思いますけど…。 確かにアナタの白いヒゲは『それっぽい』ですが…」 男は、老人の顔を見て思った事を口にした。 それに対して老人は答える。 「うむ…。 我が社…『三田食品』は、『小児用健康食品』の会社として今年で創業200年を迎えるんじゃが、 創始者のクーネル・アソブ氏は生まれも育ちも『キッスイ』のイギリス人じゃった。 それが三代目の社長が、あちこち世界を旅した末に日本に住み着き現地の『三田』という日本女性と結婚してムコ入りしたのじゃ。 それから何代も時を重ねているうちに完全に東洋系の血筋になってしまったという訳じゃよ」 「……なるほど…」 と、それを聞いた男は、 『一応… 話の「スジミチ」は…通っては、いるな…』 と、内心で思った。 『…しかし… 「小児用健康食品」って…小さな子供専用の健康食品って、果して有るんだろうか……』
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