もしも願いがかニャうなら

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「助けてもらったお礼に、ニャンでも言ってくれニャ!」 ちょっと偉そうに、猫はしっぽをパタン、パタンと振った。 「・・・お前、キナコだよな?」 俺は恐る恐る声を出す。 昨日帰ってきてから名前をインスピレーションで決めた。 三毛猫っぽい柄なのだが、茶色の毛が多く、 ぱっと浮かんだ名前だった。 「そうニャ。お前がつけたんだろ?」 キナコはニヤリと笑う・・・いや、笑ったように見えた。 「ふぅ。」 俺は一息ついた。 こんなの現実のはずがない。 きっと疲れて眠って夢でも見てるに違いない。 ・・・そう考えると、とたんに俺は気が楽になった。 「人の心が操れるニャ!大金持ちに大金でも持ってこさせるか?」 夢のくせに、結構大胆な事を言う。 「じゃぁ、好きな子がいるんだけど・・・」 俺は思い切って話し出した。 キナコはまたニヤリとした。 「お前のこと、好きにさせたらいいニャ?」 「・・・いや、それじゃ、味気ないだろ?」 「?」 キナコはかわいく小首をかしげる。 「俺のこと眼中ない感じだからさ・・・、  ちょっとは気にしてくれたらいいな、って。」 「ニャンだそれ。面倒だな。好きにさせちまえばいいのに。」 キナコは毛づくろいを始めた。 「いや、お前の力を借りて好きになってもらっても嬉しくないんだよ。  ちょっとは気にしてもらえたら、その後は俺自身が頑張るしさ!」 「面倒な生き物だニャ、人間って。」 キナコは毛づくろいを終えると、大きくあくびをした。 「わかったニャ。では、お休み。」 「お、お休み・・・。」 あっけなく会話は終わり。 俺は夢なんだろうな、と思いながら、自分も目を閉じた。
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