雨上がりの庭

　朝、縁側の窓を開けたら、庭に幾つもの足跡があった。寝ていて気つがなかったけれど、どうやら夜の内に雨が降ったらしい。
　水溜りはないから、そんなに長く降っていた訳じゃなさそうだ。でも庭土はぬかるんでいて、そこにはっきり足跡が見える。
　縁側の右と左から、それぞれ猫の足跡が真ん中に向かっている。ちょうど縁側の真正面辺りで突き当たった。そこに、家の外から人間の足跡が伸びていた。
　夜中に猫が喧嘩していて、うるさいから、誰か追い払いに来た、とか？
　それとも、何かの偶然で、二匹の猫と、夜中に押し込もうとした泥棒が鉢合わせ？
　人間一人と猫二匹。その直面のパターンは色々考えられるんだけど、さすがに、もう一つの足跡を加味すると、イメージは極端に限定されてしまう。
　人間の足跡の隣にある、何だか判らないモノの足跡。とりあえず人間のサイズの三倍はあるかな。そして何故かそいつだけ、帰って行った跡もある。
　ここで猫二匹と人間が出会った。そこに、正体の判らない何か巨大なモノが現れて、全員を拉致。あいるはこの場で捕食。そして帰った。
　この巨大な足跡を見た以上、考えられるのはこの二通りくらいなんだけど…。
　本当に、夜中に何があったんだろう。そして、何かとんでもないことがあっただろうに、まったく気づかず眠っていた俺…ある意味グッジョブ。

雨上がりの庭…完