短編小説~親友~

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健「なに言ってんだよ…。そんなの………」 健には答えられなかった。 健には悟は見えていた。しっかりと。そこにいた。 しかし、周りの同級生は今日、悟に声をかけてなかった。 悟の事を、見ていなかった…………。 見えていなかった。 その事に気付いた健は…いや、健も気付いていたのかもしれない。ただ見ない振りをしていた。 健「………そんなの…」 健は結衣を見る余裕も無くなった。目が泳いでる。一気にたくさんの情報線が絡まっている様な状態だ。 結衣「悟は、トラックに轢かれそうになった健を助けようとして………」 健「………はは。…やっぱり今日の結衣はおかしいぞ」 健は歩き出す。校舎と反対の方角。帰路へ。 結衣「待って!一人で帰ったら危なっ………!!?」 結衣は言葉を詰まらせる。なぜ危ない?悟が事故にあった状況と似てるから?また悟が死ぬ?でも悟はいない。もう悟が死ぬことはない…。 そんなことを考えている間に、健はどんどん歩みを早め、気付いたときにはかなりの早さで歩いていた。 追わなければ 結衣の頭の中にはそれが浮かんだ。 でもなぜ追わなくてはならないのか? 結衣「……………ぁ……わかった…………違う…………………同じなんだ」 悟が来ない。健が怒る。健が先に帰る。 この状況は、悟が事故にあった日と一緒なのだ。 その日はトラックに轢かれそうになった健を助けようとして悟が死に、そして今は、助けに入る悟がいない。 結衣「………健が…!!」
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