41人が本棚に入れています
本棚に追加
「くんちゃん……なにそれ……」
「っ! 言うな! 全然ちがうし!」
「駆け落ち? プロポーズ?」
「バカ! ちがうっつっとろーが!」
顔が熱いのが自分でもわかった。本当に全くそんなつもりはなかった。単純に、言い方を間違えただけ。シュンだってそれをわかって茶化している。そこまで理解しているのに、なんでこんなにムキになって否定しなきゃならないんだ?
「くんちゃんって、石根 邦友(イシネ クニトモ)だっけ? イシネ シュンかぁ。なんか良くない?」
「名前忘れんなし、で、なんでお前が嫁に来る設定なんじゃ」
「くんちゃんでずっと生きてきたけぇ、たまに忘れるんよ。別にくんちゃんがお嫁に来てくれてもええで? 瀬戸の花嫁、歌っちゃるで?」
「だまれボケ」
「まぁええけどさぁ。こんだけずうっと一緒におって大丈夫ってことは、一生一緒でもやって行け……」
「はぁーもう……。勝手に言うとれ!」
こんなにネタにされるとは思わなかった。シュンのヤツ、食いつきすぎ。二人とも普通の男子高校生なんだから、どっちが嫁でも気持ち悪い。
でも……。よく考えたら、シュンの言うことにも一理あると思えた。
ずうっと一緒。本当だ。指折り数えるくらいしかいなかった島の同級生の中でも、ここまで一緒にいるのはシュンだけだった。
最初のコメントを投稿しよう!