3230人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうも」
「褒めてないし」
最低
「痛くも痒くもない」
へぇ…
「悪いけど、あたし今日残業しないから」
「あ、俺現場から直帰するから」
「はぁっ?!」
午後イチで出て行くくせに、直帰ってどういうこと?
キーボードを叩く手が一瞬止まる
「寂しい?」
顔を上げ、笑ってあたしを見る表情がいやに爽やかで
一瞬胸がキュッと締め付けられた
「冗談」
一瞬でもこいつが気になったなんて認めたくなくて
鼻で笑い一蹴すると、唇を尖らせ同意するように何度も頷く奴が視界に入った
「俺、油木さんと仲良くやってけそう」
「は?」
どこが?
「お断りさせていただきます」
打ち出した書類を突き出し、奴の顔を視界から隠す
「嫌でも、そのうち仲良くやっていくことになるよ」
あたしの手から書類をスルッと抜くと『ありがと』と微笑み、意味不明な言葉を残して鞄を手に事務所を出て行った
最初のコメントを投稿しよう!