その男、要注意人物につき

別れ話は突然に

「千景さ───」

「何？」

あたしの名前を呼んだきり、口を開こうとしない健人へ続きを促す

「………結婚、する気ないだろ？」

「結…婚…？何、いきな───」

「俺もう３２だしさ、色々考えたりするんだよな。何歳までに結婚して、子供は何人欲しい、とか…。何歳までに一戸建てが欲しいとか…さ」

あたしの言葉を遮り、話し続ける健人

これまで『結婚』の『け』の字も出さなかったから呆気に取られた

「だから、結婚する気がないなら別れよう」

「えっ…ちょっ、ちょっと待ってよ。突然そんなこと言われても…」

話が飛躍し過ぎ

「突然じゃない。俺はずっと前から考えてきた」

いきなり結婚するか別れるかの選択を迫られても、即答出来るはずがない