別れ話は突然に

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「千景(ちかげ)」 「なぁに?」 お風呂から上がり、頭にタオルを巻いた状態でリビングにあるソファのひじ掛けに背を預け、テレビを見ていたあたし 横目でカウンターキッチンを見ると、その向こう側に立つ母と目が合った 「ちょっと、いい?」 いつになく真剣な表情の母に、リモコンでテレビの電源を切りソファを立つ クリーム色した木目調のカウンターに両肘をつき、頬を乗せて彼女を見上げた 「お父さんと別れることにしたから」 手にしたレタスに視線を落とし、流水で濯(すす)ぎながら淡々と話す まるで日常会話のようだ 「………そぉ」 何と答えたらいいのか分からず、口から出た言葉はそれだけだった それでも重苦しい雰囲気がキッチンに流れ、いたたまれなくなったあたしは自分の部屋へ逃げ込んだ
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