越えた一線

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「は?」 自分から言い出したくせに あたしの答えを聞いた途端 眉間に皺を寄せ、困惑した表情をする 「もしかして、あたしの『好き』と柳生くんの『好き』って、意味が違う?」 不安になって聞いてみた 「え…、俺の『好き』は異性として好きって意味で…。そういう意味で家族として見られないっていうか…」 しどろもどろで話す彼の体に力を込める 「あたしも、だよ。柳生くんのこと、一人の男性として好き。だから───」 その先は言葉にできなかった 「───っ、ん…」 両肩に置かれていた手で頬を掴まれ 彼の唇にすべてを呑み込まれる 今までのキスとは比べ物にならない 「やっ…柳生…く…」 唇の角度が変わるタイミングで 必死に呼吸をし、名前を呼んだ
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