越えた一線

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「達樹」 「ん」 「達樹って呼んで」 啄むようなキスの後、おでこをつけ 懇願するように呟く 「達っ…ふ…」 呼んでと言ったくせに最後まで言わせてくれず 口内を隅々まで確認するように彼の舌が這う お互いの息が混ざりあい、顎を伝う体液が どちらのものなのかもう分からない 意識が朦朧としてきた頃 ひょいと担ぎ上げられ、お姫様抱っこをされた 「千景」 下ろされたのはベッドの上 スプリングがギシリと音を立て、沈む 両手の指を絡めてベッドに押しつけられた 「やっ!ちょっ…待って!」 「俺がどれだけ待ったと思ってんの?」 「え…?」 至近距離で見下ろす彼の熱い吐息が頬にかかる
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