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「千景」
耳たぶにくすぐったい感触を覚え
眠りの奥底から引きずり出される
「ん…」
寝返りを打つと、目の前に柳生くんの胸板が飛び込んできた
「おはよ」
「───っ」
一瞬、事態が呑み込めず慌てて体を起こそうとしたけれど
あたしの体の下に差し入れらていた彼の手によって阻止される
「ひどいなぁー。一夜を共にした仲なのに、その反応は」
反対の手も伸びてきて、ぎゅっと抱き締められた
ムスクの残り香が鼻をくすぐる
あ…
あたし達、昨日お風呂…
帰宅してそのまま色々あって
お風呂にも入っていないことに今更ながら気が付いた
「ねぇっ、お風呂…」
「何?一緒に入りたい?」
首筋に顔を埋め、キスを落としていく
「違っ、お風呂に入ってないって」
「んー。そうだな」
寝起きが悪いはずの彼が
朝からちゃんと起きていることにも驚きだけれど
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