一途過ぎる愛

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「お茶…お持ちしました」 「あ、ありがとうございます」 彼女が顔を覗かせたからか、健人の手はすぐに離されたけれど ソファーもあるのにドアの前で立ち尽くすあたし達の異常ともいえる雰囲気を 古賀さんはどう思っただろう 「テーブルに置かせていただきますね」 少し困ったように笑うと、部屋の中に入ってきてテーブルに二つ緑茶を載せる 「え…っと…。失礼いたしました」 終始困惑した表情でそそくさと部屋を出て行った 行かないで! 心の中でそう叫ぶけれど、無情にもドアは音を立てて閉まる 「千景」 すぐ背後で声がして、びくりと体が跳ねた するりと髪の毛に指を差し込まれ、全身に鳥肌が立つ 「嫌っ!」 髪の毛を掻き上げ、露わになったうなじに舌を這わされ声を上げた 次の瞬間─── 体の向きを変えられ、乱暴にシャツを引っ張られてボタンが周囲に弾け飛んだ
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