一途過ぎる愛

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嫌だ、怖い 恐怖で頭が真っ白になる このまま無理矢理最後までされてしまうのだろうか 「千景」 荒い息を吐きながら覆いかぶさってくる健人を押しのける力も出ない こめかみ辺りが割れそうなほどズキズキと脈打っている 「千景、愛してる」 アイシテル? これが愛? こんな強引な方法が? 嫌だ 助けて! 目の奥がジワリと熱くなる 突然の来客に、少しだけ不安を覚え 席を外していた柳生くんの机にこっそりとメモを残してきた いつ戻ってくるのか分からない それでも、彼が見つけて気にしてくれれば─── 一縷の望みをかけてきたけれど、あんな内容で彼が飛んできてくれるのか 相手が健人だと最初から分かっていれば… 考えても仕方のないことばかりが頭をよぎる
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