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「………大丈夫…なわけないか…」
静かにドアを閉めた課長が遠慮がちに振り替える
裂けたシャツの前を両手で握り締め、静かに頷いた
ふわりと風を感じ顔を上げた途端
課長のジャケットにすっぽり包まれる
「こんなことしかできなくてごめんね。本当は柳生くんを呼んでこようと思ったんだけど…」
「…彼、事務所に居たんですか?」
「うん」
涙で視界が揺れ始めた
せっかく課長が助けてくれたのに
今、一緒に居てほしいのは柳生くんで───
前にもこんな風に思って
課長には申し訳ない気持ちでいっぱいだ
「だけどもし彼がこの現場を見てたら、あの男本当にタダじゃ済まされなかっただろうね」
大袈裟に言ったつもりかもしれないけれど
彼ならやりかねない
「仕事どころじゃないだろうし、今日はもう帰りなさい。荷物持って来るからここで待ってて」
そう言って部屋を出て行った
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