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※※※
「なぁ」
柳生くんが捕まえてくれたタクシーの中
真ん中を空けて後部座席に乗り
お互い窓枠に頬杖をついて外の景色を眺めていると
繋いだ方の指をキュッと握り締められる
「何?」
振り向くと、真剣な表情でこちらを見る彼と目が合った
「………」
何か言いたげで
でもそれを躊躇っているのか
なかなか口を開こうとしない
「さっきのこと?」
多分、それしかないだろうけど
断定はできないので一応聞いてみる
すると、彼は視線を繋いだ手に落とし
あたしの手ごと少し持ち上げて
シートに軽くトントン打ち付けた
「俺………」
「うん」
「………」
唇を少し尖らせ、また視線を外に向けた彼の短い溜息が聞こえる
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