一途過ぎる愛

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「千景に仕事辞めてほしい」 「え?」 仕事を辞める? 「………何でもない」 「…そっか…」 聞こえなかったふりをして相槌を打った 辞める…か… この歳で仕事を辞めたら 次を見つけるのはかなり厳しい それを分かっているから、彼も言葉を濁したんだろう 「つくづく課長がムカつく」 「へ?何で課長?」 突然の怒りの矛先に 頭上を疑問符が飛び交う 「色々持ち合わせ過ぎなんだよ、アイツ」 「色々って…どこが?」 どうして課長を目の敵にするのかが分からない 「全部!俺に無いものばっかり持ってやがる。俺だって金さえあれば………」 「柳生くんは柳生くんだよ。課長と比べる必要なんてどこにもない」 握り締められた手をそっと握り返した
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