一途過ぎる愛

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今の仕事を辞めるのは少し寂しいけど 他に選択肢がないわけではない 健人が二度とあたしの前に姿を見せない保証もない それなら……… 「転職…しよっかな…」 「え?」 「仕事…、今のところにこだわる必要ないしね」 何の取り柄もないあたしに 果たして次があるのかは疑問だけど 「だけどちょっと不安かな。あたし何の資格も持ってないし、もうすぐ30だし、そのくせできるの事務だけだし…。正社員は………厳しいか…」 自分で言ってて何だか虚(むな)しくなってきた 何だっけ? 『青色吐息』? あ、違う 『青息吐息』だ 青色の吐息って何なのよ 脳内で一人漫才を繰り広げ、思わず苦笑する 「…本当は俺が養ってやるって言いたい…ところだけど…。そんな甲斐性もねーし…。世の中何でも金だよな…」 彼の言葉に同意して、何度も頷いた
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