一途過ぎる愛

26/30
前へ
/299ページ
次へ
「大丈夫、気にしてない」 「大丈夫って…。強姦されそうになったんだぞ!?」 「中学の時も、先生から同じようなことされたから…」 途端に彼の表情が曇る 「…それって…」 「心配しないで。未遂だよ」 随分昔のことなのに もうどうでもいいはずなのに 心のどこかでは、まだちゃんと消化しきれていなかったらしい 「あたしって、そういうの引き寄せる人間なのかもね」 今まで誰にも話したことのないあたしの過去 口にした途端 魚の骨が喉に引っ掛かっていつまでも取れないような そんなチクチクした痛みが 乾いた笑いと共に込み上げてきた 「…千景」 ドアの前に居た彼があたしの傍に寄ってきて そっと頬に手を伸ばす
/299ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3232人が本棚に入れています
本棚に追加