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昔から───
父と母は仲が悪かった
父の女癖、母の金遣い
子供ながらに感じるものがあったから、特に口に出したことはない
そのうち父が家に帰ってこなくなり、あたしは母に連れられ母の実家に移った
ほどなくして母が出て行き、あたしは母の実家に置き去りにされた
祖父母は優しく、独身の叔母があたしを実の娘のように育ててくれたおかげで何不自由なく大きくなることが出来た
そしてあたしが高校を卒業した年、母は実家に戻ってきた
あたしを迎えに───
「千景」
「何?」
部屋のドアが控えめにノックされる
「ご飯…出来たよ」
「ん」
迎えに来た母はそれまでどこでどうしていたのか、家族の詰問に答えようとはしなかった
ただ、母が持っていた鞄や着ていた服が世界的に有名なブランド品であるところを見ると、あたしが置き去りにされた頃と何一つ変わっていなかった
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