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からね。今から12時間、彼女と一緒に過ごすんだ」
陽介「えっ? 今から…」
クマ「そう…今から」
陽介「(顔が青くなる)」
クマ「察しが良いようだ」
陽介「一緒にいたら…捕まるんじゃないですか?」
クマ「大丈夫。12時間だけ、一緒に逃げればいいんだ。その間に捕まってし
まったら、多分共犯者扱いされるだろうけど。面白いじゃないか、共犯者が
教師だったというのも」
陽介「ちょっ、ちょっと待ってくださいよ」
クマ「それから、コレを持っていくといい」
テレビ局のロゴが入った袋を陽介に渡す。
陽介「……?」
クマ「それでは、幸運を祈ってるよ」
陽介の体が、突然ワープする。
○車内
山道を疾走する車。
突然、助手席に現れる陽介。
ボディビルダーのイギリス人女性エリー(24)が車を運転している。
後部座席には、腕をロープで縛られ、目隠しされた会社社長が乗せられ
ており、怯えている。
陽介を見るなり、物凄い剣幕で、英語でまくしたてるエリー。
陽介は何を言っているのか、さっぱりわからないが、エリーが明らかに
自分に対して怒っていることがわかる。
陽介「(恐る恐る)Whо Are Yоu ? 」
エリーは、さらに激怒し、陽介のお腹を思い切り殴る。
悶絶する陽介。
お腹をおさえると、エリーのことを思い出す。
陽介「……あっ、あの中づり広告の!」
エリーは自分のお腹を指さしながら、少し悲しげに、陽介にうったえか
けるように何かを話している。
○回想・空港
駐車場に向かう陽介と母の佳苗。
陽介の持つトランクケースが、中年太りのおばさんに化けていた通行人
の宇宙人のサムにぶつかり、思わず、一瞬だけ『本来の姿』をさらけ出
してしまう。
そこへ通りがかったエリーがサムと遭遇する。
姿を見られたサムは、触角をエリーのお腹へ伸ばし、電気ショックを与
える。
失神するエリー。
今度はスマートなモデル美女に姿を変え、その場を去るサム。そして、
エレベーターに乗ると、秘密のボタンが現れ、地中深く降りていく。
そこには、宇宙人専用の旅客ターミナルがあり、総理大臣が、観光大使
として、宇宙人観光客を出迎えている。
× × ×
病院で目を覚ますエリー。時計を見て驚く。
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