第1章

10/31

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
からね。今から12時間、彼女と一緒に過ごすんだ」 陽介「えっ? 今から…」 クマ「そう…今から」 陽介「(顔が青くなる)」 クマ「察しが良いようだ」 陽介「一緒にいたら…捕まるんじゃないですか?」 クマ「大丈夫。12時間だけ、一緒に逃げればいいんだ。その間に捕まってし まったら、多分共犯者扱いされるだろうけど。面白いじゃないか、共犯者が 教師だったというのも」 陽介「ちょっ、ちょっと待ってくださいよ」 クマ「それから、コレを持っていくといい」 テレビ局のロゴが入った袋を陽介に渡す。 陽介「……?」 クマ「それでは、幸運を祈ってるよ」    陽介の体が、突然ワープする。 ○車内    山道を疾走する車。    突然、助手席に現れる陽介。    ボディビルダーのイギリス人女性エリー(24)が車を運転している。    後部座席には、腕をロープで縛られ、目隠しされた会社社長が乗せられ    ており、怯えている。    陽介を見るなり、物凄い剣幕で、英語でまくしたてるエリー。    陽介は何を言っているのか、さっぱりわからないが、エリーが明らかに    自分に対して怒っていることがわかる。 陽介「(恐る恐る)Whо Are Yоu ? 」    エリーは、さらに激怒し、陽介のお腹を思い切り殴る。    悶絶する陽介。    お腹をおさえると、エリーのことを思い出す。 陽介「……あっ、あの中づり広告の!」    エリーは自分のお腹を指さしながら、少し悲しげに、陽介にうったえか    けるように何かを話している。 ○回想・空港    駐車場に向かう陽介と母の佳苗。    陽介の持つトランクケースが、中年太りのおばさんに化けていた通行人    の宇宙人のサムにぶつかり、思わず、一瞬だけ『本来の姿』をさらけ出    してしまう。    そこへ通りがかったエリーがサムと遭遇する。    姿を見られたサムは、触角をエリーのお腹へ伸ばし、電気ショックを与    える。    失神するエリー。    今度はスマートなモデル美女に姿を変え、その場を去るサム。そして、    エレベーターに乗ると、秘密のボタンが現れ、地中深く降りていく。    そこには、宇宙人専用の旅客ターミナルがあり、総理大臣が、観光大使    として、宇宙人観光客を出迎えている。    ×     ×     ×    病院で目を覚ますエリー。時計を見て驚く。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加