第1章

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   トレーナーの男性から、お笑いコンビ『ナンテコッタ』のライブに間に    合わなかったことを知らされる。    ×     ×     ×    厳しいトレーニングを続けるエリー。    自宅に帰ると、お笑いコンビ『ナンテコッタ』のDVDを見て、お腹を    抱えて笑っている。    ×     ×     ×    トレーナーから、『ナンテコッタ』のライブチケットをプレゼントされ、    喜ぶエリー。    ×     ×     ×    『ナンテコッタ』のライブチケットを大事そうに両手に持ち、飛行機で    日本へ向かうエリー。    窓からは大噴火した富士山が見える。 ○車内    エリーがお腹を指さして怒っている。    理由がさっぱりわからない陽介。 陽介「僕はどこにでもいるごく普通の教師だ。君のことは知らないよ」 エリー「私の愛する『ナンテコッタ』のライブに行けなくした犯人に会って、 一発殴ってやりたいってお願いしたのよ。あのクマにね」 陽介「えっ、日本語が話せるの?」 エリー「えっ、何で私、急に日本語が話せるようになってるわけ?」 宇宙人のサム「それで、私も呼ばれたってわけか」    どこか機械的な声を聞いて、振り返る陽介とエリー。    誘拐された社長の隣に、エリーに電気ショックを与えた宇宙人のサムが    座っている。 サム「まあ、いいさ。この状況を楽しむとしよう。君が突然、日本語を喋れる ようになった理由も時季にわかるさ」    意味深な笑みを浮かべるサム。    不安そうな陽介とエリー。 ○ファミリーレストラン    陽介と向かい合わせでエリーとサムが座っている。    店員が料理を運んでくるが、サムに対してそれほど驚いていない。 テーブルの上には、テレビ局のロゴが入った袋が置かれてある。 サム「効果てき面だな」 陽介「…こんなんで、いいのかな」 客達は少しサムに興味はあるものの、騒ぎはせず、普通に食事している。 サム「なりたくないのさ。最初の一人に。そして、最後の一人にも。誰かが、 アクションを起こしたら、それに一気に続いていく。文明の進化の中では、 こういった『他人の目が怖くなる時代』があるものさ。自分の目よりも、他 人の目を意識して生きている、なんとも臆病で空虚な世代だ」    食事を終えるエリー。
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