第1章

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エリー「私の目的は達成されたわ。(陽介を見て)あなたの顔なんて、もう見て いたくない。なんなの、この食事は…。なんで一緒に…。もう別々に行動し ましょう」 陽介「(外に止めた車を見て)そうだね。それが良いと思うよ。そうしようよ」 サム「せっかくの機会だ。会いに行かないか?」 エリー「誰に?」    すると、テレビのニュースで、誘拐された社長が解放されたことが伝え    られる。『犯人の男』は、仲間二人と逃げて行った、と社長のコメントが    紹介される。 陽介「男って…(エリーを見て笑う)」 馬鹿にされたエリーは、陽介の足のすねを思い切り蹴る。 その拍子にスプーンが床に落ちる。テーブルの下に屈んで、スプーンを 拾う陽介。エリーの足が床に着いていないことに気付く。 エリーは3?pほど足を浮かしている。 陽介「(痛みに耐えながら)とにかく、これでもう追いかけられる心配はないね」 サム「それはどうかな」    ニュースでは、「また、誘拐犯の一人が『自分は教師』だと喋ったとこと    を誘拐された社長が聞いていたことを明かしている。 陽介「……(顔が青ざめる)」 エリー「(笑って)いい気味だわ」 サム「君がこの難局から逃れるためには……」 陽介「逃れるためには…」 サム「君もニュースになるようなことをするしかない」 陽介「そんなことしたって解決できないですよ…」 エリー「(陽介を無視して)なんだか、楽しくなってきたわ。それで、誰に会い に行くの?」    テレビ番組がニュースから、バラエティに変わる。    お笑い芸人『ナンテコッタ』の番組が始まる。 エリー「(目を輝かせる)もしかして……」 サム「さあ、行こう」 ○新宿駅ルミネ前(夜)    ナンテコッタが出演している劇場の前で、出待ちをしている陽介とエリ    ーとサム。 エリー「ナンテコッタに会えるなんて、嘘みたい」 陽介「それより、サムさんがこの街に、なんか妙に溶け込んでいるのが、変で しょ」 周りにいる人たちは、ほとんど携帯電話をいじっていたり、ゲームした りしていて、サムのことはそれほど気にしていない。 ゲームしている男A「なんかさ、このゲーム、スゲーリアルすぎで、俺まで、 マジ空飛べそうな気になっちゃうんだけど」 ゲームしている男B「俺も、このモンスターみたいに変身できたりして」 ゲームしている男B、サムを見る。
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