第1章

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ゲームしている男B「いいっすね、かっこいいっすよ、その衣装」 サム「(突然大きく口を開いて)ギャワーッシュ」    と叫ぶ。 ゲームしている男B「スゲーリアル! マジうらやましいよ」    怖がるどころか喜ぶ、ゲームしている男B。 サム「もう人類は、現実を見失っている。何が現実で、何が現実ではないか、 判断できないんだ。人類は夢を見過ぎたのかもしれない。非現実的な」 ゲームしている男A「コラコラコラ、そんな恰好しているからって、調子乗って 説教みたいなこと言うんじゃねぇよ」 ゲームしている男B「いいじゃん。いいじゃん。本物の宇宙人っぽくて」 すると、ゲームしている男Aの体が浮き上がる。 ゲームしている男A「なっ、なんだよコレ…」 ゲームしている男B「スゲー、お前、マジ浮いてるよ」    さらに、上昇するゲームしている男A。    周囲の人たちもざわつき始める。 ゲームしている男B「なぁなぁ、空飛ぶってどんな感じなのさ?教えろよ」 ゲームしている男A「どんな感じって、お前…うわ、うわっ」    どんどん上昇し、ビルの屋上も超えていくゲームしている男A。    さすがにゲームしている男Bも唖然とし、心配になってくる。 陽介「どうなっているんだよ」 サム「空を飛んでいる」    そこに、ナンテコッタの前田(38)と後藤(38)が劇場から出てくる。    誰もそれに気付かず、少し寂しがるナンテコッタだが、エリーが猛ダッシュで近づいてくる。 エリー「(緊張しながら)握手してください」 前田が、握手に応じる。    喜びの余り、力強く握るエリー。 ナンテコッタ前田「(顔をしかめて)痛たたたっ…」    相方の後藤は、周囲の騒ぎに気付く。    ゲームしている男Aは、どんどん上昇し、見えなくなっていく。    すると今度はゲームしている男Bがモンスターに変身してしまう。    さすがに、周囲の人たちから悲鳴が上がり、我先に逃げ始める。 サム「均衡が、遂に破れたのだ」 エリー「ねぇ、聞いて聞いて、ナンテコッタの前田と握手したの」 陽介「均衡って、なんの?」 サム「この世界を保っていた、リアルという概念が崩れたのだ。お互いを支え あっていたリアルとリアルが、想像という怪物に喰われたのだよ。エリーが 急に日本語を喋れるようになったのもそのせいさ」
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