第1章

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陽介「リアルの概念が崩れた? もしかして、電球が急にパッと明るくなったり、子供たちのズボンが急に下がったのも…。 それで、これからどうなるのさ」 サム「今、君の心の中でイメージしていることが、現実になる」 陽介「えっ?」 サム「今、考えていただろ、この可能性を。叶うのかもしれないって」 陽介の肩を叩く、大きな手。 陽介「(もしかして)……」    陽介が振り返ると、そこに父親の明生がいる。 明生「これはなんのさわぎなんじゃ。陽介」 陽介「(思わず涙ぐみ)父さん……」 サム「さぁ、世界が暴れ始めたぞ。どうする、人類」    上空からミサイルが通過し、少し離れた場所で爆発する。    コンクリートから、木や草花が出てきて、あっという間に生い茂る。    突然、雷雨になったかと思うと、晴天になり、夜になったかと思えば、    また昼になる。 ナンテコッタ前田「ナンテ…」 ナンテコッタ後藤「コッタ…」    逃げ惑う人々。 ナンテコッタ前田「サムさん、一体これは…」 ナンテコッタ後藤「こんなん、聞いてなかったで…」 陽介「えっ?知り合いだったの?」 ナンテコッタ後藤「君、いいツッコミできるやないけ」 サム「もはやリアルの力では、想像を抑えることができなくなってしまったの だよ。人間が想像してしまったことが、すぐに具現化されてしまうのさ」 陽介「えっ?じゃあ、誰かが、もし……、あっ」 サム「今、誰かが、この世界を滅ぼしたいとか、独裁者になりたいと願ったら、 どうなるのかと思ったのだろう?」 陽介「うん…(想像を払拭するように)いやいやいや、そっ、そんなこと、考 えたりなんかしてないよ」 サム「それは、無理なんだ。一体誰が、この世界の破滅を、リアルに想像でき る?何十億の人間が死んでいくことを、それぞれ事細かに想像できる人間な どいやしないさ。リアルに想像してしまったことだけが、実際に起こってし まうのだよ」 明生「でも、それならば、私がここにいるように、逆にピンポイントで誰かの 死を願ったとしたら?」    周囲の人々が突然、倒れたり、火に包まれたりする。    思わず、目をつぶる陽介。    すると、倒れた人たちが、目を覚まし、起き上がり、炎に包まれた人に    は大量の水がかかる。 サム「(陽介を見て)君がやったんだろう」 陽介「(額ににじんだ汗を拭って)できた…」    陽介を見つめるエリー。
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