第1章

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   台所では佳苗が嬉しそうにお茶を入れている。 明生の声「母さん。いつものあるかな」 佳苗「はい、今、入れてますよ」 明生の声「いや、自分で注ぐから、はよう、くれな」 佳苗「えっ?」 台所に入って来る明生。 明生「せっかく、生き返ったんじゃ。いつまでここにおれるかわからんし、飲 まんと損じゃろ」 明生、冷蔵庫を開け、瓶ビールを取る。 明生「これ、これ。ビールはこれにかぎる」 佳苗「まったく、あんたらしいわ」 明生「(コップを取って居間に戻ろうとして)ずっと、冷やしていてくれたんや な。ありがとうな。佳苗」 佳苗「なにを、あんたらしくもない。さっさと飲まんね。いつまでおれるかわ からんのやろ」 明生「そやそや、飲もう、飲もう」 居間に入る明生。 佳苗「(こらえていた涙がこぼれる)こっちこそ、ありがとうや」 ×     ×     × 陽介のアルバムを見ながら、お酒を飲み交わし、盛り上がる一同。 佳苗「ほんま、テレビも放送せんし、家の中、静かやったのに、急に賑やかに なって」 明生「テレビなんて、なければないでいいやないか」 ナンテコッタ前田「おかげで俺らの仕事は激減やけどな」 ナンテコッタ後藤「営業ばっかやで」 エリー「営業って、なんですか?」 ナンテコッタ前田「営業っちゅうのはな……」 ナンテコッタ前田が説明しようとすると、携帯電話が鳴る。 ナンテコッタ前田「はい。(相手の声を聞いて)ああ、また営業ですか?いいで すよ、ちょっと遠いけど、行きますわ」 ナンテコッタ後藤「営業入ったんか?」 ナンテコッタ前田「例のあそこや。前回の評判がよくて、また来てほしいらし いわ」 ナンテコッタ後藤「やっぱこれからは営業やな」    窓の外の星を見上げるナンテコッタの二人。 ○小学校・校門    和久、康太、陸がやってくる。    そして、小学校の前で並んで立つ。    近くにミサイルが飛んできて、少し怯むが、しっかり立ち続ける。 和久「きっと、できる!」 康太・陸「うん、できる!」 ○空港・搭乗口    エレベーターに乗るナンテコッタの二人。秘密のボタンを押す。 ナンテコッタ後藤「あったま痛いわー。さすがに飲みすぎたな」 ナンテコッタ前田「なんやお前、二日酔いがスッキリするように想像してない のか?俺はとっくに治ったで」 ナンテコッタ後藤「アホか。二日酔いから逃げて酒なんか飲めるか」
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