第1章

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佳苗「新聞の一面を飾るようなことをしたら、24時間。三面なら12時間。 それ以外は1時間。誰とでも、もう一度会うことができるねん。ごく普通の 主婦が、息子を絞殺したら、えらいニュースになるとアドバイスされたんよ。 その人に。」 陽介「誰だよ、そいつ」 佳苗「さあな、神様…、ではなさそうやな。そんなこと勧めるなんて」 陽介「……まさか、あのトランクケース」 佳苗「そうや、あんたの遺体を入れるつもりやったんや。あとで天国で謝れば、 あんたも許してくれるやろと思うてな」    ゾッとする陽介。 ○回想・書店    中古車情報誌を見ている佳苗。    佳苗「あった、これや。陽介と同じ車や!」 ○回想・中古車店    陽介と同じ型の自動車のトランクルームのサイズをメジャーで測る佳苗。 店員「少し古めの車ですが、トランクルームは広めで使いやすいですよ」 佳苗「そやね、広めやね。これなら入りそうや」 店員「ええ、大抵の物は入りますよ…大抵の物は…」 ○車内 佳苗「たいへんやったんよ、この車のトランクルームに入る、なるべく大きな トランクケース捜すの。あんた、最近ちょっと太ったって言ってたしな」 陽介「(あきれ顔)死んだあとに謝られても意味ないわ。っていうか、俺殺した ら天国に行けんやろ」 佳苗「そやな。でも、完全に悪いわけでもないで。難しいな(笑う)」 陽介「何をわろうてんね」 佳苗「で、どうすんの? 警察連れて行かないの?」 陽介「行かないよ。行けるわけないだろ」 佳苗「ほな、帰るわ。家に」 陽介「はあ?」 佳苗「それなら、もう用事もないし、帰りのチケット取ってくれんね。今は、 携帯電話で予約できるんやろ。頼むわ」    まったく悪びれた様子のない佳苗に唖然とする陽介。 ○空港・出発ロビー 佳苗「ほな、元気でな」    一際大きなトランクケースを引きずるように去っていく佳苗を見送る陽介。 陽介「いったいどうなってんねん」 ○タイトル『ニュースペーパージャック』 ○陽介の部屋(夜)    中央にいかにも事務用のデスクが置かれあるワンルームの部屋。服や雑    誌、飲み掛けのペットボトルが散らかっている。    風呂から出てくる陽介。    少しぽっこりしているお腹を気にしている。    デスクに弁当と、パソコンを用意し、食事しながら仕事する。    インターネットで子供達のストレス発散法を調べている。
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