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佳苗「新聞の一面を飾るようなことをしたら、24時間。三面なら12時間。
それ以外は1時間。誰とでも、もう一度会うことができるねん。ごく普通の
主婦が、息子を絞殺したら、えらいニュースになるとアドバイスされたんよ。
その人に。」
陽介「誰だよ、そいつ」
佳苗「さあな、神様…、ではなさそうやな。そんなこと勧めるなんて」
陽介「……まさか、あのトランクケース」
佳苗「そうや、あんたの遺体を入れるつもりやったんや。あとで天国で謝れば、
あんたも許してくれるやろと思うてな」
ゾッとする陽介。
○回想・書店
中古車情報誌を見ている佳苗。
佳苗「あった、これや。陽介と同じ車や!」
○回想・中古車店
陽介と同じ型の自動車のトランクルームのサイズをメジャーで測る佳苗。
店員「少し古めの車ですが、トランクルームは広めで使いやすいですよ」
佳苗「そやね、広めやね。これなら入りそうや」
店員「ええ、大抵の物は入りますよ…大抵の物は…」
○車内
佳苗「たいへんやったんよ、この車のトランクルームに入る、なるべく大きな
トランクケース捜すの。あんた、最近ちょっと太ったって言ってたしな」
陽介「(あきれ顔)死んだあとに謝られても意味ないわ。っていうか、俺殺した
ら天国に行けんやろ」
佳苗「そやな。でも、完全に悪いわけでもないで。難しいな(笑う)」
陽介「何をわろうてんね」
佳苗「で、どうすんの? 警察連れて行かないの?」
陽介「行かないよ。行けるわけないだろ」
佳苗「ほな、帰るわ。家に」
陽介「はあ?」
佳苗「それなら、もう用事もないし、帰りのチケット取ってくれんね。今は、
携帯電話で予約できるんやろ。頼むわ」
まったく悪びれた様子のない佳苗に唖然とする陽介。
○空港・出発ロビー
佳苗「ほな、元気でな」
一際大きなトランクケースを引きずるように去っていく佳苗を見送る陽介。
陽介「いったいどうなってんねん」
○タイトル『ニュースペーパージャック』
○陽介の部屋(夜)
中央にいかにも事務用のデスクが置かれあるワンルームの部屋。服や雑
誌、飲み掛けのペットボトルが散らかっている。
風呂から出てくる陽介。
少しぽっこりしているお腹を気にしている。
デスクに弁当と、パソコンを用意し、食事しながら仕事する。
インターネットで子供達のストレス発散法を調べている。
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