第1章

8/31

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
葵「いいかげんにしなさいよ!三島先生のこと、そんなに悪くいうなんて。確 かに頼りないところはあるけど、まだマシじゃない。3組の大田先生に比べ たら!」   他の児童たちも「そうだ」「そうだ」と葵に賛同する。   自分で黒板に書いた『私はあなたを許す』という花言葉を見つめる陽介。 葵「大丈夫よ。私たち、三島先生のことちゃんと許しているから」 陽介「……。(気を取り直して)それじゃ、席について。授業を始めるぞ」    席に着く児童たち。    和久と康太と陸も仕方なく席に着く。    授業を始める陽介。 ○住宅街(夜)    街灯の電球が切れかかっている。    帰路を歩く陽介。    傘をさして、2メートル近くの大きなクマが歩いてくる。    一瞬、戸惑う陽介。    クマの持っている某テレビ局の紙袋が目に入る。 陽介「(撮影?)」    恐る恐るクマからちょっと離れてすれ違う陽介。    すると切れかかっていた電球がパッと明るくなる。    少し安堵する陽介。 ○小学校・教室    花瓶にはスイートピーの花が活けられている。    黒板には、今日の花言葉『優美』と書かれてある。    和久と康太と陸が、ゲーム機で遊んでいる。    陽介が教室に入ってくる。    ゲームを慌てて隠す和久たち。 陽介「何度も学校に持ってくるなっていってるだろ」 和久「先生だって、パソコン持ってきてるじゃん。パソコンだってゲームでき るじゃん」 康太「それにスマホだって持ってきてるしさ」 陸「説得力ないって」    ため息をつく陽介。    すると和久たちのズボンがストンと落ちて、パンツ一丁になる。    葵や他の児童たちは大笑い。    泣きそうになる和久たち。    かなり驚いている陽介。 陽介「(うそだろ……)」    でも、泣きそうになっている和久たちを見て、うれしそう。 和久「(ズボンを上げながら)笑うなよ!」 葵「だって、先生だって笑ってるし」    笑いを堪えようとするが、どうしても笑みがこぼれる陽介。    そんな陽介を睨む和久たち。 陽介「じゅ、授業を始めるぞ」    笑いながら席に着く児童たち。 ○学校・カウンセリング室    大田がすがるように梢に相談している。 大田「子供たちの考えることがさっぱり理解できないんです。最初はかわいい と思っていたけど、「担任の先生ってなんで選べないの?」とか、「宿題やら
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加