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ないといけない法律ってあるの?」とか、とんでもない質問ばかりで。もう、
子供たちが口を開くのが怖くて…」
梢「子供たちには、ルールをつくるための時間が必要なの。それをつくるため
には、いろいろ試さないといけないの。いいことも、時には悪いことも」
大田「正しいことをちゃんと教えたかったのに……」
梢「悪いことにもちゃんと付き合うのが教師の役目よ。そのためには、あまり
子供たちに近づきすぎようとしないことなの」
大田「それができないんですよ」
髪をかきむしって、泣き出しそうな大田。
○居酒屋(夜)
お酒を飲んで楽しそうな大人たち。
○塾(夜)
真剣な表情で、授業を受けている和久、康太、陸。
○陽介の部屋(夜)
『超能力の不思議』という本を読んでいる陽介。
○ホーム
早朝。人もまばらな駅。
ベンチに座り、海辺のカフカを読んでいる陽介。
すると、クマが歩いてきて、隣に座る。
クマの足元が視界に入り、本をゆっくり降ろす陽介。
某テレビ局の紙袋を持って、悠然と座っているクマ。
クマ「この袋を見て安心してるだろう。意識的に」
陽介「……」
クマ「そんなもんさ。もし、このテレビ局のロゴが入った袋を持たずに俺が歩
いていたら、それは騒ぎになるだろう。でも、騒ぐことに羞恥心を感じる人
間達は、この紙袋を見て『テレビの撮影』だろうと、人目を気にして、騒げ
ずにいる。騒ぐ勇気すら足りない」
陽介「(恐る恐る)撮影…、じゃないんですか?」
クマ「言ったろう。これはただの飾りだよ」
陽介「(本物のクマが喋っている?)……」
クマ「あの8月23日の富士山大噴火以来、すっかり一面を獲ることができな
くなってしまった。一面扱いのニュースを演出することが、私の唯一の快楽
なのに…」
陽介「……もしかして……」
クマ「そう、君のお母さんに、電話したのは私だよ。まあ、これは仮の姿だけ
ども。悪かったね、君を殺しかけて」
陽介「(頭を整理しようとするができない)……」
クマ「今日、ここに来たのは、今日のその三面記事の事件を起こした彼女が、
君に会いたがっているからなんだ」
慌てて三面記事を確認する陽介。
白昼堂々、某会社社長が誘拐された事件を報じている。
陽介「誘拐? 彼女?」
クマ「無論、君に選択権はない。『誰にでも会える』という、彼女と私の契約だ
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