第11章  痛む胸(続き)

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「それがね、シアトルに行く前に ようやく出来上がった弁護士事務所があったでしょ?  あの弁護士さんが、佐々木くんの所の顧問弁護士なんですって。 それで、新しい事務所に行った時に、私の話がチラッと出たらしいの」 「へぇ。それで、ご指名ってわけ?」 「まぁ、一応、あの弁護士事務所の造りが気に入った、 とは言ってくれたけど」 ふぅーん。 低く、唸るような彼の相槌で、にわかに会話が途切れた。 そして、私は、少し視線を逸らしてセッセとグラタンを食べる彼に、 やや伺うような目を向ける。 妬いてる……? しかし、ちょっと見では分からなかった。 だから、もう一つボールを投げてみることにした。
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