第11章  痛む胸(続き)

9/15
前へ
/38ページ
次へ
もう彼の中に、佐々木くんへの対抗と嫉妬が渦巻いているのは明らかだった。 それを証明するかに、この夜の彼は、私の名前を呼び続けながら 何度も、何度も私を突き上げる。 喘ぎ疲れた喉が、ヒリヒリと悲鳴を上げ始めた。 だが、そんな翻弄されるように抱かれる私の中では 快楽と覚醒が、せめぎ合っている。 すごく切ない面持ちで想いをぶつける彼と、 私は、情事を終えた後に話がしたかった。 きちんと、自分は彼だけのものだと言葉にして伝えたかった。 しかしその一方で、必死に掴んでいた意識も、 彼に激しく揺さぶられる体と共に、抵抗空しく遠のきかける。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加