7人が本棚に入れています
本棚に追加
2
一九八四年三月、留萌市の繁華街の雑居ビル。ここに、全国最大の暴力団組織四代目織田組(組長田川志史、若頭林人志)の直参直系組織で一九八〇年代当時、北海道内で最大の暴力団組織北政会(会長司馬猛任、若頭石巻盛城)の若頭補佐新光雅雄が会長を勤める新光会の傘下組織留光興業という織田組の四次団体の暴力団組織の事務所がある。
留光興業の総長小西音市は、留萌港や漁船を装った留萌沖洋上取引で、盗難車や正規ルートの中古車と引き換えに、ソ連や北朝鮮から麻薬や銃器を密輸して多額な利益を得ていた。
その利益と銃器は、留光興業の上部団体の新光会に行き、さらに上部団体の北政会へ行き最終的には、大元の組織織田組へと上納されて織田組の全国的規模の組織を支える資金源や武力強化になっていった。
その、留光興業の事務所があるビルから二人の男が出てくる。
二人は事務所ビル前の黒いベンツに乗り込み、発進させる。
「簗田、近々ソ連への自動車輸出ついでにロシアンマフィアのモヴァニコーフから大量の拳銃買入の話が来てるんだが、今回もお前仕切ってくれるか?」
「はい、やります! 話持ってきたの中古車貿易業のペレンスコですよね? 聞いてます」
「最近ペレンスコの野郎、留萌署の刑事と繋がってるという噂もあるんだわ。なんか仕組んでるかもしれん。慎重に頼むぞ。
ペレンスコの野郎、だんだん要求がエスカレートしてきてるみたいでよ。この取引終わったら、オヤジが始末するってさ。まあ、また末端のチンピラのガキ使って事故装って殺るんだろうけどよ」
「わかりました。ペレンスコの指示でモヴァニーコフはブツをいつも海産物に紛れさせるんで、今回は別のロシア人ルートからモヴァニーコフに別の隠し方法を指示します。まあ、金はかかりますが。
でもそれなら、ペレンスコがサツに密告してサツが動いても、海産物からは何も出ず、ペレンスコにも警察に密告しただろうと、懲らしめる口実になります」
「さすが簗田。頭切れるな」
最初のコメントを投稿しよう!