第四章 一九八〇年、留萌署刑事 榊栄一郎巡査 堂場剛弘巡査

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「おっ、積み終わった様だな」榊が言う。 「最後に積んだベンツ三人がかりで手で押して入れてたな。ガソリンタンクが空なんだろう。ビンゴだな。榊、行くか?」 「よし! 堂場、道ふさぐぞ。俺は簗田を抑える」  榊は無線で杉山に連絡する。 「トラックは大分調べたが無いな。やはり囮のようだ。すぐに向かわせる」  杉山から応答。    堂場は、覆面パトカーを発進させ、カーキャリアの前方に道を塞ぐ様に止める。  銃を取り出して二人は車から出る。  カーキャリアはそれを見て急にバックする。  榊は、とっさに前輪のタイヤ二つに発砲。見事に一発づつで当ててパンクさせ動きを止める。   「警察だ!!」  堂場は、運転席側。榊は助手席側のドアを開ける。 「簗田だな? 降りろ」榊が言う。  簗田は、一言「分かった。今降りる」というと、運転席の中古車ディーラーに目配せして先に下ろさせる。 「てめえも、さっさと降りろ!!」榊が恫喝する。 「ちっ、わかったわかった」舌打ちしながら簗田も降りてくる。 「後ろの車、調べさせてもらうぞ」堂場が言う。 「勝手にしろ。車パンクさせやがって! これで何も見つからなかったらてめえらただじゃおかねえぞ」 簗田が悪態をつく。
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