第二章六代目織田組二代目新光会若頭補佐鷹組組長羽場鷹春

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「それはそれはすごいですね。性能良いのこれくらいでお願いできますか?」羽場は右手をパーにして見せる。 「ええですよ。ちょっとこちらも勉強さしてもろうて……(電卓を叩く)よっしゃ、電話と免許と戸籍でコレでどないですか?」男は七を指で示す。 「了解です。戸籍の賞味期限切れは大丈夫ですね?」 「ええ、身寄りも無い薬中の廃人寸前のゴミみたいな男でしたわ。各方面から借金しはって、下手こいて臓器売られて処分ですわ。捜索願も出されとりませんなぁ。まあ今は、ふっかーい山中の産廃の下ふっかーくで“おねんね”でっしゃろ」  その後、写真を撮影し、免許証は写真張り合わせ等の偽造作業後、後日納品との事で、羽場はあいりん地区の安宿に潜伏することにする。今後は重要参考人羽場鷹春の身分は捨てて、まずは札幌に戻る事だ。  今日から、羽場鷹春改め、将田尚人となる。  札幌で在日コリアン三世として生まれたときは、申鷹明シン・メミョン  ヤクザになって羽場鷹春、そしてこれで三回目の改名だ。  先代新光雅雄会長は、趙新光チョ・シンクァンである。同じ札幌初中高級朝鮮学校の先輩に当たる。  どうしようも無いくらいの、悪童だった自分に言葉遣いや礼儀、そして大学の学費援助、ヤクザになってからは、稼げるシノギを教えてくれた大きな存在。  純粋な日本人である藤原会長には先代新光死亡後、杯直しをして形式上の親子の忠誠を尽くして来たが、すべてを悟った今、趙新光(先代新光雅雄会長)の不審な病死の真実を調べ、本来の父親的存在だった趙新光の仇を討つ為、将田(羽場)はしばらく身を潜めその爪を研ぐことにする。
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