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白石区アンダーパスでの木村身柄確保から、一息付く間も無く真田や竹森らは西区の木村の自宅に向かう。
木村自宅周辺は、規制線が敷かれ騒然な雰囲気となっている。マスコミ各社も身柄確保を聞きつけ集まってきている。
木村の自宅アパートでは、既に何人かの捜査員ならびに遺体を切断した疑いの強い浴室の血液反応を調べる為、鑑識班も集まっている。
鑑識班長の佐々木寛和が、真田の姿を見つけ声を掛ける。
「睦月ちゃん、駄目だわ。最初部屋は鍵かかっていて大家さんに開けて貰い、部屋の中至る所調べたけど、血液反応はおろか遺体切断出来るような道具も無いのさ。あっても男一人暮らしで料理もしないのか、ちっちゃい果物包丁くらいだわ」丸い手のひらをひらひらさせながら言う。
「別の場所で、遺体を処理したのでしょうか?」
真田はそう言いつつ、ふと視線の先にある物置に目が行く。
「あのプレハブ物置って、ここのアパート住民の共用のですよね?」
「おい、真田! 犯人がわざわざ家の鍵掛けて出てんのに、だれでも開けられる物置に証拠を隠すかよ?」
竹森が、呆れた様に言う。
「そうですよね……」
「まあ、一応見てみるか」
そういって、竹森は共用物置の扉を開ける。
「うわー、ゴチャゴチャだわ! チャリが積み重なってるぜ」
「手伝います!」真田が言う。
「いや、いいよいいよ。チャリとかストーブとか重たいモンばっかりだ。ここは野郎に任せてお前は中調べろよ」竹森が言う。
「はい、すいません」
竹森は、次々と中の漬物樽や自転車を外に出し始める。
「うわーこの漬物樽臭えー」竹森が叫ぶ。
もう一度、竹森が叫ぶ。
「おい!!真田!!ちょっと!!」
真田が向かうと、竹森が物置の中の自転車のカゴを指差す。
「かっ紙袋!!」竹森が恐る恐る紙袋を取る。ずっしりと重そうに持ち上げる。
竹森が中を覗く。竹森の目が見開く。
「さ、真田!!みっ見るな」竹森が止める。
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