第三章真田睦月巡査 真相への入り口編

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 真田は忠告を無視し竹森に近づき袋を覗く。  真田の視界に、紙袋一杯のエロ本が目に入る。  真田は思わず紙袋ごと竹森を突き飛ばす。 「てめー痛えな!!俺のせいじゃねーよ」竹森の倒れた身体に無数のエロ本が散らばる。  その時、竹森が倒れたときに、巻き込んで倒した漬物樽の蓋が開き、ごろっと転がって紙袋が出てくる。 「あーっ!!」竹森が叫ぶ。  真田は紙袋を覗く。  左手だ! メモも同時に見つかる。  メモには、hand③completion⑦(handのフォントは、Big Caslon)とある。  真田は、メモをもう一度凝視する。 「手と……completion⑦。完了……これで、終わった? ⑦は西区……。handのフォントは前回と一緒」  真田は捜査本部にすぐさま報告する。すぐに、左手も科捜研へ送られた。  木村の自宅からは決定的な証拠は何も見つからなかったが、捜査本部は木村の逮捕状を請求し連続バラバラ死体遺棄事件容疑者として再逮捕。  同日、全国ニュースで、木村正一容疑者逮捕と一斉報道される。  初夏の札幌を震撼させた事件は、ここで一旦区切りを迎える。  翌日、六月二一日。  真田は、捜査本部の椅子の上で抜け殻のようにぼーっとしている。  六月十日から、怒涛の勢いで次々と切断遺体が見つかり、休み無く昼夜動いてきたが木村逮捕で一気に疲れがどっと押し寄せる。  この、一週間まともに寝ていない。
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