第三章真田睦月巡査 真相への入り口編

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 白石区の菊水アンダーパスで見つかった腕と、西区の木村正一自宅アパートの共用物置で見つかった左手は科捜研の調べで、金山正道のものと判明。  この日は、水澤を中心に殺害場所や残りの遺体の場所などの取り調べが木村に対して行われる予定だ。  しかし、捜査本部のテレビで流れている全国ニュースは、先ほど速報で入ってきた神戸空港近くの海上橋でのダンプカーと乗用車の多重衝突事故が大きく取り上げられ、札幌の事件は全国の人々の興味、意識から今一度消える。  この事故で死亡したのが、札幌と旭川の織田組傘下の有力団体新光会と旭勝会の会長や幹部達だからだ。  噂されていた織田組の分裂抗争がらみの事件か? と、マスコミの注目は一気にそちらへ向く。  真田は、ぼーっとテレビを眺めながら、このバラバラ事件の被害者は元新光会の金山正道  神戸の事故は新光会の会長と幹部。関係ないようで、妙な繋がりがあるなとぼんやり考える。  ヤクザの世界はよく解からないが、やはり親分を殺した金山に木村は仇討ちしたのかなと、再びぼんやり考える。  その時、携帯が鳴る。柳井健一からだ。 「もしもし、真田です」 「真田さん、すいませんお仕事中に。今よろしいですか?」 「はい、大丈夫ですよ」 「あのぉ、昨日夜に聞いてから言うか言わないかすごい迷ってたお話なんですけど……ニュースで木村正一容疑者逮捕と出てますが、実は、うちの壮志が昨日宝箱のおじさんが学校に来たと言い出しまして……」
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