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戻る車中、真田の携帯電話が鳴る。水澤だ。
真田は、すぐに左によって停車する。
「はい、真田です」
「おい! 真田!!どこにいる? とんでもないことになったぞ!!」
「えっ何ですか?」
「ど、どっ堂場刑事部長が、道警本部で刺された」
「ええっ? 誰にですか?」
「榊、札豊署の榊署長だ」
「ど、どうして?」
「俺もわからん!!とにかく、道警本部に行くぞ」
「さ、榊署長は?」
「堂場警視正を刺して、舌噛んでその後に自分で首を切って自殺したらしい」
榊さんがなぜ堂場警視正を?
いくら考えても、わからない。少なくとも榊の口から堂場と知り合いだったという事は一度も聞いた事が無い。
とにかく、現場へ。
真田は、通いなれた道警本部へと急ぐ。
運転しながら、真田は榊との思い出を思い返す。
小さい頃、父である真田亮一が家に連れてきて遊んでもらった記憶。
高校時代に当時榊が居た札東署に訪れ警察官を目指すことを伝えたが、高卒じゃなくてきちんと勉強して大学へ行ってから来なさいと言われた事。
警察官になった時に行った時の嬉しそうな顔。
そして、久し振りに刑事になって再び訪れた時の嬉しくて泣きそうなのを堪えて無理やり作った笑顔。
父が亡くなり母親が再婚してからは、榊の事は父親のように思ってきた……
真田は道警本部に着くと現場へ向かう。
現場の階に着いてエレベーターから降りると、水澤が駆け寄ってきて言う。
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